受験ストレスで生じる
認知のゆがみ
Cognitive distortion
✓ 「認知のゆがみ(Cognitive distortion)」とは、現実を正しく理解できず、間違った考えに陥ってしまう現象をさします。受験ストレスによって高まり、思考力や集中力を低下させるため入試に失敗する要因になります。
✓ このページに掲載しているセルフチェックシートを使って、認知のゆがみを自己診断できます。18の項目をチェックすることで、受験ストレスが脳の認知機能に及ぼしている影響がわかります。
✓ 受験生が陥りやすい「認知のゆがみ」は、6つのタイプ(6 Cognitive distortion type)があります。セルフチェックを行うことで、あなたがどのタイプに該当するかを特定できます。
✓ 最新の脳医学を活用した認知のゆがみの治療法と、それを克服して入試合格へと導く方法について詳しく解説します。
東京大学本郷キャンパス赤門正面
本郷赤門前クリニック
受験ストレスが増すと、極端に非合理的な思考パターンに陥ってしまう精神病理の現象をもたらすことが多くの受験生に起こります。
これが、「認知のゆがみ(Cognitive distortion)」と呼ばれているものです。
その結果、脳の認知機能を低下させることで、記憶できなくなったり、深く思考するのが困難になったりします。
近年、こうした現象が、受験で失敗してしまう大きな要因になっていることが、明らかになってきました。
「認知のゆがみ」から脱するには、まず、受験生がどのタイプのゆがみに陥っているのか、自分で知ることが必要です。
そのために開発されたのが、以下の「認知の歪みを見抜く受験生セルフチェックシート(Cognitive distortion questionnaires )」 です。
受験生が陥りやすい認知のゆがみは、6種類のタイプ(6 Cognitive distortion type)があります。
いずれも、受験ストレスや勉強による脳疲労によって生じる物事の考え方や感じ方のゆがみです。
同時に、6種類の認知のゆがみは、さらに受験ストレスや受験うつを悪化させる要因にもなります。
特に入試が近づいてくると、判断力はもちろん、思考力や記憶力も低下させるため、入試に落ちるとても危険な要因になってしまいます。
まずは、6種類の「認知のゆがみ」がどういうものなのか、簡単に説明しておきます。
それぞれ、ご自分に該当していないかを考えながら読み進めてください。
①全か無か思考!
(all-or-nothing thinking)
全か無か思考は、物事を絶対的な二項対立、つまり「全て」か「何もない」のどちらかとして捉える傾向を指します。
受験生の場合、これは「全問正解でなければ合格しない」といった極端な思考につながります。
しかし、実際のところ、入試は全問正解でなくても十分に合格可能なものが多いです。
この思考パターンに陥ると、一つの間違いが全体の失敗につながると感じ、不必要なプレッシャーを感じてしまうでしょう。
②感情的決めつけ思考!
(emotional reasoning)
感情的決めつけ思考とは、自分の感情を事実と混同し、それを真実と信じてしまう傾向を指します。
受験生であれば、「落ち込んでいるから絶対に試験に落ちる」というような思考になるでしょう。
しかし、自分の感情は一時的なものであり、必ずしも現実を正確に反映しているわけではありません。
落ち込んでいるときは、それを客観的に捉え、自己評価に影響を与えないようにすることが大切です。
③先読みの誤り思考!
(the fortune teller error)
先読みの誤り思考は、未来の出来事について否定的な結果を予測し、それを事実として受け入れてしまう傾向を指します。
受験生で言えば、「どうせ私は落ちる」という未来予測に囚われてしまうでしょう。
しかし、未来はまだ確定していないので、否定的な予測は現実を歪めたものです。
可能性を信じて、最善の準備を続けることが大切です。
④すべき思考!
(should thinking)
すべき思考は、「〜すべきだ」と自分自身や他人に対して厳格なルールや基準を課す傾向を指します。
受験生であれば、「もっと勉強すべきだった」と自己非難に陥ることがあります。
しかし、この思考パターンはストレスを増大させるだけでなく、自己肯定感を低下させる可能性もあります。
「すべきだ」の代わりに、自分にできることを見つけて取り組むことを試みると良いでしょう。
⑤マイナス化思考!
(disqualifying the positive)
マイナス化思考とは、自分の成功やポジティブな結果を無視または否定し、否定的な見方を強調する傾向を指します。
受験生であれば、「たまたま良い点数を取っただけで、本当は頭が良いわけではない」と自己否定に陥るかもしれません。
しかし、これは自分の能力を正しく評価できなくなる可能性があります。
ポジティブな結果も自身の努力の一部と認識し、自信を持つことが大切です。
⑥誤った自己責任化思考!
(personalization)
誤った自己責任化思考とは、自分がコントロールできない事象に対して自己責任を感じ、その結果、自己非難に陥る傾向を指します。
受験生であれば、「試験の問題が解けなかったのは自分の準備が足りなかったからだ」と考えがちです。
しかし、問題が解けなかった理由は、たまたま難問が出題されたためかもしれません。
すべての事象は自分のコントロール下にあるわけではないため、このような思考は不適切です。
自分がコントロールできる部分に注力し、自己責任を適切に範囲に留めることが大切です。
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6種類の認知のゆがみについて、全体像はご理解いただけたと思います。
ただし、受験生の多くが、大なり小なり認知のゆがみを抱えているのが現状です。
受験勉強自体が脳にストレスを強いるもので、まったく認知のゆがみが生じない受験生は、かなり少数派でしょう。
大事なのは、認知のゆがみの強さがどの程度にあるのかということです。
それを知ることができるのが、「認知の歪みを見抜く受験生セルフチェックシート」なのです。
18のチェック項目にそってセルフチェックをするだけで、受験生に多発する以下の6種類の認知のゆがみが、それぞれどの程度なのか、スコアがわかるようになっています。
特に、受験生がメンタル面で不安定になったり、スランプに陥って成績が急降下した場合は、この6つのいずれかの認知のゆがみが強く生じていることが多いので、必ずセルフチェックを行ってください。
また、受験うつなど、メンタル面や脳機能の不調を見つける上でも、極めて重要な項目です。
それでは、以下の「認知の歪みを見抜く受験生セルフチェックシート」を使って、どの項目が該当するか、自己診断をしていきましょう。
【認知の歪みを見抜く受験生セルフチェックシート】
(Cognitive distortion questionnaires )
以下の項目について、それぞれ採点基準に沿って点数をつけてください!
採点基準
・まったく当てはまらない ⇒ 0点
・あまり当てはまらない ⇒ 1点
・やや当てはまる ⇒ 2点
・とても当てはまる ⇒ 3点
①全か無か思考!
(all-or-nothing thinking)
チェック項目①
合格するか不合格になるかの見通しが曖昧な状態はとても辛く、受かるか滑るかはっきりさせないとイライラする!
チェック項目②
全問正解しなければ、合格は無理だと考えてしまうことがある!
チェック項目③
一度でも試験で失敗したら、二度といい点数がとれないような気がしてくる!
②感情的決めつけ思考!
(emotional reasoning)
チェック項目④
たった一問でも問題が解けないと、全ての問題が解けないように感じてしまう!
チェック項目⑤
友だちは勉強すると実力がつくのに、自分は勉強しても実力がつきにくいと感じる!
チェック項目⑥
問題が解けたとしても、今回に限って解けただけのことで、次回は解けないような気がしてしまう!
③先読みの誤り思考!
(the fortune teller error)
チェック項目⑦
具体的な根拠はないのに、受験で失敗してしまうと思い込んでしまうことが多い!
チェック項目⑧
試験で問題を間違えると、これからも同じ間違いを繰り返してしまうように感じる!
チェック項目⑨
根拠はないのに、成績はこれからドンドン悪くなる一方だと考えてしまう!
④すべき思考!
(should thinking)
チェック項目⑩
どの問題集も、「必ず、終えなければならない」と考え、自分にプレッシャーを与えてしまう!
チェック項目⑪
「あのときに、これを勉強すべきだった・・・」などと過去のことを考えて、後悔してしまうことが多い!
チェック項目⑫
一度、立てた勉強の計画は、どんなに無理があってもやり遂げるべきだと思うことが多い!
⑤マイナス化思考!
(disqualifying the positive)
チェック項目⑬
根拠もないのに、自分が勉強できない人間だと周囲の人に思われていると感じてしまう。
チェック項目⑭
問題が解けないと、私は学力がない人間だと決めつけてしまう!
チェック項目⑮
先生や友だちのちょっとした言動をきっかけにして、私は受験に失敗する人間なのだと感じて落ち込む!!
⑥誤った自己責任化思考!
(personalization)
チェック項目⑯
勉強がはかどらないときは、いつも自分が悪いと考えてしまうことが多い!
チェック項目⑰
問題が解けないとき、その原因は自分に能力がないためだと考えてしまうことが多い!
チェック項目⑱
先生が私の試験の結果に失望したのは、すべて私自身のせいだ!
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受験生の遭遇する認知の罠とその対策
「全か無か思考」とは何か、その真髄を理解しましょう。
この心の迷宮は、私たちが自身の現実を二極端にふるい分け、全てか無かという極度に対比的な視野で認識しようとする思考形態を表しています。
この思考形態が身につくと、一切が「白か黒」「成功か敗北」「100%か0%」のように、極めて二元的な選択肢で認識してしまうのです。
大事なのは、なぜ、受験生は「全か無か思考」に引きずり込まれやすいのか、ということです。
その理由は、受験という独特の環境が、自分自身の評価や成功の定義を極度に偏らせるからです。
受験生は試験の結果と自身の価値を一致させる環境に、日々、置かれています。
その結果、「受かる=成功」、「落ちる=失敗」と単純化してしまう価値観が、脳に深く刷り込まれてしまうのです。
さらに受験生は、試験結果が自分自身の将来を大きく左右すると感じ、無意識にプレッシャーを高めます。
これにより、「全問解答しなければ、合格は絶対に無理だ」という過剰な思考に陥りがちです。
また、「一度つまづいたから、もう二度と成功はない」という過去の挫折を未来に投射する傾向も現れます。
これらすべてが「全か無か思考」の現れなのです。
認知の歪みを見抜く受験生セルフチェックシートでは、項目1、項目2、,項目3が受験生に典型的に見られる全か無か思考の症状に該当します。
それぞれの原因、問題点などを解説します。
チェック項目①
合格するか不合格になるかの見通しが曖昧な状態はとても辛く、受かるか滑るかはっきりさせないとイライラする!
この思考は、不確実さや曖昧さに対する耐性が低いことから生じます。
明確な結果が見えない状況に対する不安が、全か無か思考を引き起こします。
しかし、多くの受験は一部の問題に対する成功と失敗が混在するものであり、すべてが白黒はっきりとしたものではありません。
この思考パターンは、過度なストレスや不安を引き起こす可能性があります。
結果が明確になるまでの間、自分の努力に焦点を当て、プロセスを信じることが大切です。
また、不確実性に対する耐性を高めることも有効です。
チェック項目②
全問正解しなければ、合格は無理だ
ここでも、完璧主義や高い自己要求からこの思考パターンが生じます。
一部の問題に対する失敗が全体の成功を阻害すると思い込むのです。
この思考は、一つの間違いから無駄なストレスと不安を引き起こします。
また、一つでも間違いがあると全てを放棄してしまう可能性があります。
自分自身の実力とテストの難易度を現実的に評価し、完璧さを求めずに最善を尽くすことを目指すべきです。
チェック項目③
一度失敗したから、二度と成功できない
過去の失敗を一般化し、それが未来の結果を決定づけると考えることが全か無か思考に繋がります。
この思考は過去の失敗から学び、成長するチャンスを奪い、新たな試みを躊躇させます。
失敗は学びの一部であり、それが未来の成功につながる可能性があることを理解することが重要です。
過去の失敗を反省し、それを次回の試験に生かす方法を探すべきです。
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それぞれ、3つの項目のスコアを足し算してください。
これが、各認知のゆがみの大きさを示す指数です。
点数をメモしておき、カウンセリングの際にお持ちください。
認知行動療法によって歪みを矯正し、適切な認知機能を回復させ、合格につなげます。
①全か無か思考!
(all-or-nothing thinking)
該当する項目 ⇒ チェック① + チェック② + チェック③
スコア= 点
②感情的決めつけ思考!
(emotional reasoning)
該当する項目 ⇒ チェック④ + チェック⑤ + チェック⑥
スコア= 点
③先読みの誤り思考!
(the fortune teller error)
該当する項目 ⇒ チェック⑦ + チェック⑧ + チェック⑨
スコア= 点
④すべき思考!
(should thinking)
該当する項目 ⇒ チェック⑩ + チェック⑪ + チェック⑫
スコア= 点
⑤マイナス化思考!
(disqualifying the positive)
該当する項目 ⇒ チェック⑬ + チェック⑭⑮
スコア= 点
⑥誤った自己責任化思考!
(personalization)
該当する項目 ⇒ チェック⑯ + チェック⑰ + チェック⑱
スコア= 点
合計6項目の各スコアが、いずれも4点以下の場合、現段階では、認知のゆがみについて直ちに治療が必要な状況ではない可能性が高そうです。
さらに、このスコアが下がるよう、心がけながら受験勉強を進めてください。
逆に、1項目でもスコアが5を超えている場合は、すでに認知のゆがみが許容限度を超えていると考えられます。
こうした状態を放置しておくと、メンタル面の不安定さが集中力、思考力、記憶力などの低下をもたらし、合格を勝ち取る上で大きな障害をもたらしてしまいます。
これが、受験期に特有のうつ症状、「受験うつ」なのです。
この場合は、志望校への合格を果たすには、単なる受験勉強だけではなく、医療による専門の治療が必要です。
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認知のゆがみが大きい場合は、受験生お一人で、無理やりこれを取り除こうと思っても、うまくいかないどころか、逆効果になってしまうことが少なくありません。
たとえば、「全か無か思考」を止めようと思っても、反対に強まってしまい、余計にイライラして勉強が進まなくなってしまうのです。
これが、受験ストレスの怖いところです。
このようなケースでは、認知行動療法と磁気刺激療法の併用が極めて効果的です。
実際、弊院では高い実績を残しており、メンタル面の安定と志望校への合格を実現しています。
受験に特化した認知行動療法!
認知行動療法とは、うつ病や不安障害などに対する治療効果が実証されている精神療法で、カウンセリングを通してメンタル面の安定を図ります。
一般的なメンタル面のご病気に対しては、すでに標準的な治療方法が確立され、世界中で実践されています。
ただし、受験生の場合は、こうした方法をそのまま適応すると、メンタル面の安定は取り戻せるものの、その副作用として、受験には失敗してしまう場合が多いのです。
これでは、本当の意味で受験生に福音をもたらすとはいえません。
そこで弊院では、あくまでも志望校への合格を果たすことを第一に、入試で合格点が取れることを目標とした「受験版・認知行動療法」を行っています。
一般的な認知行動療法とは異なり、模擬テストの答案用紙や授業のノートのとり方など、受験勉強を通して認知のゆがみを取り除き、効率の良い合理的な勉強法へと導くため、志望校への合格を実現できるのです。
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さらに磁気刺激治療をはじめとした最新脳医学治療を併用すると、極めて短期間のうちにメンタル面の安定と、集中力・思考力・記憶力のアップを図れます。
脳機能の面から見ると、「受験ストレス」の問題は、扁桃体という部分の過剰な暴走と、背外側前頭前野の機能の低下にあります。
扁桃体の暴走がメンタル面の悪化を生み出し、背外側前頭前野の機能の低下が集中力・思考力・記憶力の低下を生み出しているのです。
これを、頭の外から安全な磁気のパルスを当てることにより治療するのが磁気刺激治療です。
受験版・認知行動療法と最新脳医学治療を組み合わせることにより、弊院は極めて高い治療実績と志望校への合格を実現しています。
それが、「最新脳医学治療(受験うつ)早期合格コース」です。
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