光文社新書「受験うつ」より
・・・試験結果の一喜一憂は子どもを受験うつに追い込むので厳禁です。
実際、受験うつに陥った子どもについてカウンセリングを行っていると、母親は試験の点数に一喜一憂しているケースが極めて多いことに気づきます。
子どもの試験の点数が良ければ母親はそれで志望校への合格が決ったかのように喜び、試験が悪ければがっくり肩を落とします。
親心としてよくわかりますが、これが子どもを受験うつに追い込む大きな要因となります。
どんな試験であっても、その時の体調や出題された問題の相性によって成績は上下するものです。
いわば試験は水もの。
ところが、親が一喜一憂すると、受験生が心に受ける負担はさらに大きなものとなります。
悪い点数だったときにガッカリすることが受験生を追い詰めるということは多くのご両親が理解されているようです。
ただしE君の例でも明らかなように、点数が良かったときに親が喜ぶということも、長い目で見れば受験生のストレスを増すということ忘れてはなりません。
なぜ、こうしたことが起こるのか、また、合格率を上げるにはどうしたらよいのか、解説していきましょう。
親が試験の結果を喜びすぎてしまうというのは、経済に例えればバブルの好景気のようなものです。
実態を伴った経済成長であれば長く好景気が続きますが、実体が伴わない好景気ならば、やがてバブルは崩壊し、苦しい不況が続くことになってしまうわけです。
子どもの成績もこれとまったく同じです。
一時の成績アップで親が浮かれてしまうと、子どもの心理はバブル経済のように膨らんでしまいます。
そのときは子どもも気分がいいので、熱心に勉強に取り組んでくれるかもしれませんが、心理のバブルもやがてはじけてしまいます。
こうして受験うつがもたらされるわけです。
ちなみに英語では、不況はdepressionですが、うつもdepressionです。
同じ単語を使うというのは、どこか共通点があるからかもしれません。
では具体的、いったい親のどんな言葉が子どもにプレッシャーをかけているのでしょうか。
受験医学研究所では、大学入試の受験生を対象に、試験直前の1週間に親からかけられた言葉をヒアリングし、さらにその言葉が受験生本人の心理にどのような影響を与えたのか分析する調査を行いました。
その結果、合格率を上げるための秘策が見つかったのです。・・・
光文社新書「受験うつ」より
「受験うつ どう克服し、合格をつかむか」
光文社新書
吉田たかよし 待望の新刊本!
12月16日、発売決定!
<目次>
第1章 増える受験うつ
第2章「受験うつ」のメカニズム
第3章 受験うつは答案用紙に表れる
第4章 間違いだらけの治療法
第5章 親のひと言が子どもを受験うつにする
第6章 うつにならない勉強法
第7章 親のコーチングで結果は出せる
<内容紹介>
未成年のうつ病、しかも、ストレスが増える受験期に突然発症する人が急増している。
子どもと大人では症状が大きく異なるため、親も受験生本人も発症に気が付かない
ケースが多いのが実情である。
中学受験ではもちろんのこと、高校受験や大学受験で頻発しており、受験生専門外来の
私のクリニックにも、勉強が手につかなくなった多くの受験生が来院している。
受験期のうつで人生を狂わさないために、受験生本人が、家族ができることは何か?
また、脳機能から考えたストレス管理や効率の良い勉強法もまとめた、
うつ病の有無を問わず受験を控えたすべての方に必見の書。