子どもがすぐに勉強を始める
親子の会話の法則
心療内科医が教える心理テクニック
✓ 子どもが勉強を始めるのを渋ったり、気が付いたらスマホばかり眺めるようになる原因の一端は、親子の会話にあります。
✓ 親が子どもの成績ばかりに関心が向くと、子どもは「成績を上げるための機械」と見なされていると本能的に感じ取り、脳が無気力となってしまうのが、勉強を渋る大きな要因になっています。
✓ 親が成績ではなく、子どもが努力して学び取った勉強の中身に関心を向けると、子どもの脳の扁桃体が活動を正常化し、すぐに勉強を始められる状態に移行しやすくなります。
✓ 親は具体的には、どのような会話をすればよいのか、わかりやすく解説します。
多くの親御様が、今、こんな悩みを持っていると思います。
子どもが勉強を始めないといけない時間になったのに、なかなか動き出そうとしない・・・。
気づけば、スマートフォンを見つめて、ダラダラと時間を浪費している・・・。
当然、親としてはイライラしちゃいますね。
でも、叱っても何の解決にもならないということは、何度も経験されていることだと思います。
子どもの脳を心療内科の観点から分析すると、このような状態に陥る原因の一つは、家庭での親子の会話にあることがわかってきました。
親子間の会話がないというのは問題外ですが、実際には、会話の内容が適切でないために、子どもの脳の扁桃体に悪影響を及ぼし、勉強に対して無気力に陥る要因を作ってしまっている場合が少なくないのです。
子どもが勉強をすぐに始めるか、それとも勉強を渋ってスマホに逃げてしまうのか・・・。
その分岐点になっているのが、実は、親子の会話にあるということが明らかになってきているのです。
もちろん、子どもの気持ちに寄り添った親子の会話によって共感を得るのが理想です。
でも、いうのは簡単ですが、現実には、それが難しくてできないという場合が少なくありません。
そこで、このページでは、どんな親御様でも簡単に実行できる、親子の会話のテクニックについて解説します。
心療内科のカウンセリングを行っていると、親子の会話が原因で、子どもが勉強に対して無気力になってしまうケースがとても多いことを実際に痛感します。
親御様に適切な親子の会話を行っていただくには、まず、こうした現象が現実に起こっているということを正しく理解しておくことが必要です。
勉強をすぐに始めず、先延ばししたい心理は、受験勉強のストレスや脳疲労によって、脳内の意欲の中枢が機能しにくくなることで生じます。
これによって脳は一種の無気力状態となり、だから勉強をしなければいけないと頭ではわかっているのに、いざとなると、いつまでたっても勉強を始められないわけです。
特に近年では、スマホの普及とともに、ダラダラといつまでもスマホを見続けるというケースが増えてきました。
勉強の無気力を防ぐ上で、親子の会話は有力な手段になります。
その一方で、間違った親子の会話は、勉強の無気力症候群の原因となってしまいます。
親子の会話が大事なのは当然ですが、ただ声掛けをすればそれで良いというものではないということを、まず、理解しておいてください。
受験生を専門に診療している私の心療内科クリニックでは、治療の手段として最も重視しているのは磁気刺激療法など最新の脳医学です。
でも、その効果を高めるため、カウンセリングにも力を入れています。
その中で、受験の無気力に陥った受験生のご家庭での親子の会話について伺うと、共通した問題点が見て取れます。
それは、ご家庭の中の親子の会話が、親が自分自身の願望を子どもに押し付ける形の声掛けになっているのが多いということです。
受験勉強でストレスや疲労が溜まっている受験生の脳は、親からの願望を押し付けられると、脳の中でネガティブな感情を生み出す扁桃体が過剰に刺激を受けてしまいます。
その結果、頭では勉強を開始しなければいけないことはわかっていても、ついつい先送りしたくなる衝動が生み出されるのです。
場合によっては、扁桃体の暴走を招いて意欲の中枢が機能しにくくなり、受験無気力症候群に陥ってしまうこともあります。
親は子どものためを思って、勉強を促す声掛けをしています。
でも、その親心は、必ずしもお子さんに届いているわけではありません。
受験生を専門に診療していると、そのことに気づかされることがたびたびあります。
以前、受験の無気力症候群に陥った生徒さんのカウンセリングをしていて、ハッとさせられたことがありました。
彼は、家庭での心の苦悩について、次のようなことを語ってくれました。
「親にとって僕は、良い成績を取るための機械だ!」
「親にとって僕は、偏差値の高い大学に受かるための機械だ!」
当時、「女性は子どもを産むための機械だ!」と発言した大臣が辞任に追い込まれるというニュースが、連日、話題に登っていました。
受験生の発言は、これを受けてのものでしたが、彼の抱える苦悩が私の心にも強く響き、長い年月が経過した今でも、はっきりと記憶に残っています。
誤解してほしくないのですが、親が子どもの成績がアップすることを望むのも、偏差値の高い大学に合格してくれることを望むことも、悪いことではありません。
これは、親として当然のことです。
なぜなら、その願望の根底にあるのは、子どもの幸せを願うという親心だからです。
もちろん、子どもの脳も、論理的思考力を生み出す前頭前野を使って、そのことを理屈としては理解しています。
でも、スマホやゲームによって刺激を受け続けている今どきの受験生の脳は、原始的な感情を生み出す扁桃体が暴走気味となり、感情的に受け入れることができないのです。
では、受験の無気力症候群を防ぐために、ご家庭で行う親子の会話は、どのような話題が良いのでしょうか。
最も理想的には、子どもの苦悩に親が寄り添う形で会話を進めるということです。
子供の心に親がしっかりと共感していることを親子の会話を通して伝えられれば、それに越したことはありません。
でも、現実問題として、これは決して簡単なことではありません。
私自身も、心療内科医として、このような会話が出来るまでに、かなりの年月を要しました。
では、各家庭で、今日から実現できるのは、どのようなことか?
おすすめしたいのは、受験生が勉強している、その中身について話題にしてあげるということです。
勉強の結果である成績ばかりを親は気にして、ついつい、試験の点数ばかりを話題にしてしまいがちです。
でも、そこは我慢し、子供が毎日向き合っている勉強の中身について尋ねてあげるのです。
交際中の恋人同士の会話を想像してみてください。
いくら素敵な女性であっても、話題に上るのは男性の年収ばかり・・・。
仕事の中身については、何も聞く耳を持たない・・・。
そのような女性だったら、少なくとも私は、心が癒されることもなければ、結婚しようとも思いません。
親子の会話でも、同じような事をしてしまっている親御様は少なくないのです。
もちろん、大学受験であれば、知識の面て親が追いつけなくなっているのは当然です。
でも、子供に教えてもらうことはできます。
特に日本史や世界史など社会科については、夕食の時などに話題にしやすいテーマです。
日本史であれば、明治以降の近現代史は、毎日のニュースに様々な影響を及ぼしているので、親のほうからも会話を膨らましていけます。
世界史も、たとえばウクライナ戦争は、東ローマ帝国、クリムハン国、オスマントルコ、モスクワ大公国などの歴史の上に生じている紛争ですよね。
国語の演習問題の課題文に書かれていた内容を聞いてあげるのも、とてもおすすめです。
国語の出題は、課題文自体が学ぶべき高品質の内容になっている文章が厳選されています。
それを夕食の話題にすることは、受験の無気力症候群を予防できるだけでなく、国語力の基礎を固める上でも役立ちます。
また、理系の受験生であっても、同じ理由で、英語の課題文にどのようなことが書かれていたかなどは食卓での話題にできます。
数学や物理については、社会科のようなわけには行きませんが、親御様には、たとえ内容がわからなくても、「微積分のどういうところが奥深いの?」とか、「波動って、どうなっているの?」とか、質問してあげていただきたいのです。
適切な親子の会話によって、ぜひ、受験の無気力を予防してください。
ただし、すでに強い症状が出ている場合は、専門の治療が必要な受験無気力症候群(Exam Apathy Syndrome)の危険性があり、決して放置しないでいただきたいです。
特に、受験生の場合、脳への負担が異なるため、一般的な無気力症候群(Apathy Syndrome)とは違う点が多く、手遅れになると、浪人をくり返すことになってしまいます。
脳がそうした状態になっていないかどうか、まずは、ご自分でチェックしていただきたい項目があります。
ぜひ、心当たりのある方は、「受験無気力症候群(Exam Apathy Syndrome)」というページで掲載しているチェックシートで、セルフチェックをしてください。
ご自分でもかんたんに「受験無気力症候群」の自己診断ができます。
無気力になった受験生に、ぜひとも受けていただきたいのが、受験に特化した光トポグラフィー検査です。
脳の状態を可視化することで、脳で何が起きているからマンネリ化や倦怠感が生じているのか、科学的に突き止めることができます。
さらに、成績を改善させる脳医学的な方法も明らかになるので、受験生が志望校合格を実現するには、とても役立つ検査です。
受験に特化した光トポグラフィー検査については、こちらのページをご参照ください。
受験に特化した光トポグラフィー検査の結果、「受験うつ」「受験無気力症候群」「受験燃え尽き症候群」などが見つかった場合は、磁気のパルスで脳の働きを高める「磁気刺激治療」を行うと、脳内の扁桃体と呼ばれる部分の暴走を抑えることで、学力を早期に回復さえることが可能です。
さらに、磁気のパルスの作用で、思考力を働かせるのに不可欠な脳内のワーキングメモリーという機能が高まるため、試験を受けた時の得点能力をアップさせることができます。
実際、弊院の「磁気刺激治療(受験うつ)早期合格コース」では、メンタル面の不調に苦しむ多くの受験生が入試で素晴らしい結果を残してくれています。
メンタル面でデリケートな受験生の方は、ぜひ、万全の準備をして入試に臨んでください。
「磁気刺激治療(受験うつ)早期合格コース」については、以下のフォームからお気軽にご案内を請求していただきたいと思います。
ご案内メールの請求と受診のお申し込み
受験の燃え尽き症候群については、こちらのページでも詳しく解説しています。
あわせてご参照ください。
勉強の意欲を高めるために、こちらの記事もご参考になさってください。