脳医学が導く受験の成功
早起きとサーカディアンリズムで合格をつかむ
多くの受験生がサーカディアンリズムを乱して脳の働きを悪化させている!
受験の成功の鍵は、ときに意外なところにあるものです。
その一つが、何時に起きるかということです。
あなたは、入試の合格率が最も上がるのは、何時に起きる場合か、お分かりになりますか?
その答えは、生物学的な一日のリズム、サーカディアンリズムに密接に関連しています。
私は受験生を専門に指導している心療内科医として断言します。
大半の受験生は、サーカディアンリズムか 乱れることによって、 脳の機能が働きにくくなっています。
これによって受験勉強でとっても損をしているのが実態なのです。
逆に言えば、サークルリズムを整えることができれば、ほかのライバル達に対して大きなアドバンテージを持つことができるわけです。
このページではそのための方法をわかりやすく解説していきます。
早起きは脳のパフォーマンスに影響する?
サーカディアンリズムが乱れている ということについて解説する前に、早起きの効果について簡単に説明しておきましょう
朝6時の起床が、受験生が試験で高得点を取るため望ましいというのは、お聞きになったことがある人が多いと思います。
これは医学的に間違いではないのですが、志望校合格をしっかり実現するためには、サーカディアンリズムを理解したうえで、ご自分の置かれている状況に合わせて、ご自分の脳にとってベストの起床時間を見つけることが重要です。
このページでは、そのための方法をご紹介します。
まず、朝6時の起床が提唱されている脳医学的な理由を簡単に解説しておきましょう。
論理的思考を支配する前頭前野は、起床から約3時間で最高のパフォーマンスに達します。
入試は9時くらいから始まることが多いですね。
このため、入試の開始時刻から逆算すれば、6時の起床は適切ということになります。
実際、私自身も学習カウンセリング協会と共同で、起床時間と脳の働きの関係を調べる実証実験をした経験があります。
やはり、このことを裏付けるデータが得られました。
ここまでの話はご存知の方が多いと思います。
しかし、最近の研究で、思春期の年代の脳は早起きに対して大きな問題を抱えているということがわかってきたのです。
これが、サーカディアンリズムのトラブルによって試験で失敗したり、成績を落としてしまう落とし穴になっているのです。
次の項目では、このことについて深掘りしていきましょう。
思春期の脳は性ホルモンの影響でサーカディアンリズムが乱れる
最近の研究で、サーカディアンリズムに関して、見落としてはいけない大事な性質が見つかってきました。
それは、思春期の受験生の脳にとっては、早寝早起きが自然な脳の生理にあっていない場合が多いということです。
思春期になると、男子は男性ホルモンのテストステロン、女子は女性ホルモンのエストロゲンが急激に増加します。
これによって、脳が一時的に不安定な状態になり、その影響で夜更かし朝寝坊になるということです。
受験生の親の世代でも、思春期には夜更かしして深夜ラジオを聞いていた思い出がある人も多いと思います。
これは、増加した性ホルモンに脳が慣れておらず、その影響で夜更かし朝寝坊の習慣が身についてしまうためです。
実は、この思春期特有のサーカディアンリズムの乱れが原因となって、脳の働きが悪くなっていることが、明らかになってきました。
具体的に言えば、勉強の意欲が出なくなる、あるいは集中力が持続しなくなる、思考力が低下するという、受験勉強にとって大きなマイナス要因となることが、多くのの受験生で起こっているということです。
スクール・スタート・レイター運動
受験生のサーカディアンリズムへの理解を深める
だったら、「そもそも、早寝早起きなんてしなければいいんじゃないか」と思った方が多いでしょう。
その考えは半分は正しいです。
実際、世界で多くの専門家や医師が、思春期の子どもに早寝早起きをしなくてもよいように、学校の始業時間を遅くするよう求める運動を展開しています。
これが「school start later運動」と呼ばれているものです。
この運動が実を結び、実際にアメリカのカリフォルニア州では、学校の始業時間を遅くする ことを求める法案が可決されています。
また北欧でも始業時間を遅くする、あるいは、運動部の朝練を禁止するといった取り組みが各地で始まっています。
早寝早起きが全面的にいいものだという古い考え方は、少なくとも専門家や医師の間では、すでに塗り替えられようとしているのです。
それでも受験生が早寝早起きをしなければならない理由!
「だったら、無理して早寝早起きを心がける必要はないんだ!」
「どんどん夜更かし朝寝坊をしたらいいんだ!」
そのように思った方が多いかもしれません。
でも、それは早合点です。
そんなことをしたら、やっぱり入試には不利になってしまうのです。
実は、私自身も「school start later運動」に一部、参加しています。
特に、入学試験の開始時間をできるだけ遅い時間に設定するように求めています。
なぜなら、入学試験の開始時間が遅いほうが、思春期の脳に無理をさせず、本当の学力をはかるのにふさわしいからです。
しかし、残念ながら、少なくとも今後10年は、日本において入学試験の開始時刻が遅くなるということはないでしょう。
だから、遠い未来はともかく、現在の受験生は、だいたい午前9時から始まることが多い入学試験に、脳の状態がベストのコンディションで臨めるように、サーカディアンリズムを獲得しておく必要があるのです。
やっぱり、受験で勝利を勝ち取るには、少し無理をしてでも、あるいは、思春期の脳に合致していなくても、早寝早起きはしなければならないというわけです。
サーカディアンリズムの落とし穴は週末にあった!
このような話をしますと、「いやいや!私はちゃんと早寝早起きをしています!」と ご自分では思っている受験生は少なくないようです。
しかし、そういう方でも大半の場合が、不適切なサーカディアンリズムになっていることが多いのです。
これはどういうことか?
サーカディアンリズムの落とし穴は、土曜日曜の週末に潜んでいるのです。
思春期の受験生は、たとえ普段は早寝早起きを心がけていても、もともと、性ホルモンの影響を受け、脳は窮屈な感情を抱きながらこうした生活を続けています。
その矛盾が吹き出すのが、土曜日曜の週末なのです。
実際、かなりの受験生が、土曜日曜には ウィークデーよりも遅い時間まで眠っています。
脳のサーカディアンリズムは 眠りにつく時間の影響も多少は影響を受けるのですが、決定的に重要なのは起きる時間です。
朝起きた瞬間にサーカディアンリズムされ、そこから一日が始まります。
社会的には午前0時から一日が始まるわけですが、脳の体内時計にとっては、朝に目覚めた瞬間からその日が始まるのです。
土曜日曜に普段よりも遅い時間に起きることによって、サーカディアンリズムは確実に乱れます。
それによって勉強への意欲が低下し、集中力も持続できず、思考力も悪化してしまうという弊害が、多くの受験生の脳に起こっているわけです。
サーカディアンリズムを整える秘訣は週末の朝食にあった!
では、土曜日曜の週末もウィークデーと同じ時間に目覚めるためには、どうすればいいのか?
その答えは、まず、ウィークデーに普段よりも 早く寝ることによって、睡眠不足を解消しておくことです。
ウイークデーに睡眠不足をため込んで、それを週末に持ち越し、週末に朝寝坊して矛盾を解消する・・・。
多くの人は、こうやって睡眠不足の帳尻を合わせているわけですが、こうしたライフスタイルはコルチゾールというホルモンの分泌がずれることによって、脳の働きに悪い影響を与えます。
だから、受験生は真っ先にこのような悪癖をやめるべきです。
さらにサーカディアンリズムを整え、受験生を早起き体質に変えるには、週末の朝食が驚くほど重要な役割を果たすのです。
実はサーカディアンリズムを整える上で、朝食が極めて重要だということも、最近の研究で分かってきました。
サーカディアンリズムを最終的に決めるのは体内時計です。
メインの体内時計は脳にあるのですが、それに加えて、二番目の体内時計が肝臓にあるということがわかってきました。
朝しっかりと朝食を摂ることによって、肝臓の 体内時計が整うことで、それが脳の体内時計に影響を与え、思春期の脳であっても早寝早起きがしっかりと定着してくれるのです。
ですから受験生をお持ちのご家庭では、親が率先して週末も早起きをし、しっかりとみんなで朝食をとるということを実践していただきたいのです。
医学では「社会的同調因子」といいますが、自分一人ではなく、ほかの人と一緒に活動すると、より確実にサーカディアンリズムが整うということも、研究で解明されています。
だから、家庭全体のライフスタイルの見直し、週末の朝にいつもと同じ時刻に一緒に朝食を食べる習慣が、二重三重によい効果がもたらされるわけです。
親御さんが率先して週末の朝食をいつもと同じ時間にとることで、家族一丸となって受験生をサポートしてあげていただきたいです。
睡眠障害と受験生
真剣に向き合う必要性
ここで注意していただきたいのは、朝型生活への切り替えは、心身ともに健康な状態を前提にしたものです。
ストレスが蔓延している現在の受験生の世代では、何らかの睡眠障害によって、早起きできない場合も少なくありません。
また、受験ストレスによって、夜、寝付きが悪くなっており、その影響で早起きできないというのも、よくあることです。
特に、最近、増加しているのが、「受験うつ」によって、夜更かし朝寝坊になっているケースです。
このような場合は、受験生の脳が抱えるそれぞれの問題を解決しない限り、受験生が挑む入学試験の結果は、とても危ういものになってしまいます。
受験生ご本人も、受験生の親御様も、脳医学的に適切な対処をするため、「受験ストレス不眠(Exam Somnipathy)」について、以下のページの記事も、ぜひお読みください!
夜更かし朝寝坊を改善するのに役立つばかりでなく、第一志望校に合格することにも役立つ情報をご紹介しています。
また、睡眠障害に加えて、何らかの受験ストレスの症状が出ている場合は、私のクリニックの「磁気刺激治療(受験うつ)早期合格コース」が、治療だけでなく、高い志望校への合格実績を残しています。
ぜひ、お気軽に以下から案内メールをご請求ください。
Exam stress Insomnia
受験生の不眠を解決!
グッスリ眠って志望校に合格!
✓ 受験ストレスによって不眠(Insomnia)になる場合と、過眠(Hypersomnia)になる場合の両方があります。いずれも、放置することで受験に失敗する人が急増しています。
✓ 心臓にある神経叢(Cardiac plexus)と呼ばれる部分が過剰に刺激を受けると、胸がドキドキした感覚になり、眠れなくなります!
✓ コルチゾール(Cortisol)と呼ばれるストレスホルモンが過剰に分泌されると、脳は無理やり覚醒させられるため、やはり眠れなくなります!
✓ 「眠れないときに無理に寝ようしなくていい」というのは高齢者向けのアドバイスです。受験生が鵜呑みにすると、不合格になってしまいます。
✓ 睡眠薬には、脳にある海馬(Hippocampal)の機能を低下させる副作用を持つものが大半です。安易に手を出すと、合格できなくなってしまいます。
✓ メンタル医学や脳科学に即した正しい対処の仕方をご紹介します。
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