大学入試に挑む受験生を対象に、1年間にわたるメンタル面(抑うつ症状の強さ)の推移を調査した結果、夏休みに夜更かし朝寝坊をした悪影響のため、新学期の始まる9月に「受験うつ」(受験期うつ症状)を発症しやすいことがわかりました。
うつ病の予防や治療に関する啓蒙活動に携わる一般社団法人、日本メンタルヘルス研究センターは、受験生専門の心療内科である本郷赤門前クリニック(東京都文京区本郷、吉田たかよし院長)と共同で、大学入試に挑む受験生のメンタル面の推移を調査し、その要因を分析しました。
【調査結果】
受験生の抑うつ症状の程度を表す受験うつ評価尺度(HAM-Dハミルトンうつ病評価尺度を受験生の実情に合わせて改訂)は、入学試験が行われる1月と2月が最も高水準ですが、前月からの増加量については9月が年間を通して最大でした。
さらに9月に悪化する特異的な要因を分析したところ、59%の受験生で「夏休みの生活リズムの乱れ」が認められ最多となり、次いで「新学期への不適応」が53%、「成績不振のストレス」が35%、「親や先生への反発」が29%の順でした。(複数該当)
夏休みに夜更かし・朝寝坊の生活に陥った受験生は、9月に新学期に入ると元の生活リズムに戻すのが困難になり、ストレス耐性を低下させて「受験うつ」(受験期のうつ症状)に陥るケースが多いということが改めて確認できました。実際、2番目に多かった「新学期への不適応」が該当した受験生の大半は、「夏休みの生活リズムの乱れ」も該当していました。
2021年は、コロナ感染の拡大による不安や、我慢を強いられるライフスタイルの影響で、受験生にもコロナうつが増加しています。こうした要因も加わり、今年の9月は例年以上に「受験うつ」の発症が多発すると考えられ、日本メンタルヘルス研究センターと本郷赤門前クリニック(吉田たかよし院長)は、受験生やご家族に注意を促しています。
・親が声をかけると、「ウルさい!」「放っといてくれ!」と声を荒げる。
大人の従来型のうつ病とは異なり、青年期の受験うつではイライラが前面に出やすい。
・英語や国語の記述式の問題、数学の図形問題の成績が極端に低下する。
脳機能を能動的に使うのが特異的に困難になるため、特徴のある成績の悪化が見られる。
・朝、登校前に頭痛・吐き気・過呼吸が起こるが、学校を休むと症状が消える。
身体に不調があるわけではなく、学校を休む理由を脳が無意識のうちに作り上げる。
・勉強は病的にヤル気が消失するが、ゲームやアニメなど好きなことには取り組める。
いわゆる「新型うつ」(現代型うつ)と同様の症状が「受験うつ」にも見られる。
これにより、オリンピックを見て夜更かしをした受験生も多い。
・成績が悪いのに志望校を偏差値の低い大学に変えようとしない。
自己愛が暴走し、一流大学に受かって当然だと思い込む。
・成績が悪化したのは親のせいだと言って怒る。
他人が原因だと考える他罰傾向が強く、それが親に向かう。
勉強の方法や取り組み方を通して心理療法を行い、認知のゆがみを治します。
受験生にとっては勉強が最大のストレス源になっているため、これと真正面から向き合う認知行動療法が大きな効果をもたらします。
脳の活動が低下している部位に磁気刺激を与えて脳の活動を回復させる、医療先進国アメリカ発の最新の治療法です。
うつ症状の早期の回復が期待できる上に、問題を解くための脳機能が磁気刺激によって活発になるため、合格を勝ち取る決め手にもなりうるものです。
「受験うつ」の症状の見抜き方や最新の磁気刺激療法については、吉田たかよし著『「受験うつ」からわが子を守る本』(洋泉社)で詳しく解説しています。
【調査の概要】
■調査の方法:心療内科医による1年を通した対面の問診
■調査地域:東京都
■調査対象:大学受験を目指している高校3年生(21人)
■学会発表:本調査研究は東京大学で開催される第25回人間情報学会で発表
【本調査に関するお問い合わせ先】
本郷赤門前クリニック
〒113-0033 東京都文京区本郷5-26-4 東京クリスタルビル7階
院長:医学博士・心療内科医 吉田たかよし
設立:2005年8月1日
診療内容:受験生専門の心療内科、磁気刺激治(受験うつ)早期合格コース