JFN「Oh!Happy Morning」(2014年2月13日オンエアー)で吉田院長がお話したことをダイジェストでお届けします。
番組でお話した内容は、あくまでも標準的な一般の受験生を想定したアドバイスです。
「受験うつ」、「受験パニック」、「双極性障害」、「発達障害」などの場合は、そのまま実践するのが望ましくないケースも少なくありません。
受験生の症状に合わせて、オーダーメイドの適切な受験対策をカウンセリングを通してご指導いたします。
入学試験とオリンピックは似ている。
本番で力を発揮できないと、勝利は手にできない。
今回は、ソチ五輪から、受験の極意を読み取りたい。
ソチ五輪は、絶対に金メダルだと思っていた高梨沙羅さんが4位。
フィギュアスケートの団体も、浅田真央さんが力を発揮できなかったこともあり、よもやの5位。
皆さんが口にするのは、緊張に負けてしまったということ。
オリンピックの晴れ舞台は、だれでも緊張するものだが、実は日本人は世界の中で傑出して緊張しやすい遺伝子を持っていることがわかっている。
それは、セロトニントランスポーター遺伝子という。
これには、不安を感じやすく、緊張しやすいS型と、緊張しにくくて大胆な行動を取りやすいL型がある。
世界29カ国を調査した研究がある。
日本人は、緊張しやすいS型の保有率が80.25%で世界一位。
ついで、韓国の79%、中国が75%と、東アジアは緊張しやすい人が多い。
それに比べて、ドイツ43%、イギリス44%、アメリカ45%と欧米は低く、遺伝的に緊張しにくい。
実は東アジアの人が緊張しやすい遺伝子を持っているのには理由がある。
2万年前の氷河期に、ご先祖様はシベリアに住んでいた。
ものすごく寒いので、何事にも慎重にならないと命を落としてしまった。
だから、環境が変わると緊張しやすくなる遺伝子が必要だった。
その後、氷河期が終わって暖かくなると、米を作るようになったが、
米は収穫まで注意深く育てる必要があり、緊張しやすい遺伝子が好都合で、そのまま日本人に受け継がれた。
だから、緊張しやすいS型の遺伝子は、日本人が生き残るのに大いに役立ってくれた。
ただ、オリンピックでは、これが裏目に出た。
これに加え、今回の開催地がソチだったというのが、緊張の暴走に拍車をかけている。
S型の遺伝子を持っていると、知らない土地に行くと特に緊張感が高まる。
だから、自然に一箇所に定住したくなるので、お米を作るには有利な遺伝子だった。
しかし、ソチのような知らない土地に行くと、実力が発揮できなくなる。
前回のバンクーバーは、冬の競技をしている人なら、何度も何度も訪れているので、慣れていた。
しかし、ソチはロシアでは唯一、亜熱帯気候で、本来は夏の保養地。
冬の競技で行くことはなかった。
それをプーチン大統領が5兆円の巨費を投じて、冬のオリンピックの会場に作り変えた。
だから冬の競技の選手は、ソチという場所に慣れていない。
だから、S型の遺伝子を持つ日本人選手にとっては、とりわけ不利な会場だった。
分野は違うが、S型の遺伝子の対策は、受験生にも必要。
今、中学受験や大学受験のシーズンだが、試験会場の下見は、1週間前に行くことをおすすめする。
前日に下見に行く人が多いが、これでは慣れないので、S型の遺伝子を多く持つ日本人の場合、緊張が暴走して実力が発揮できないことが多い。
これが、試験の前日に眠れなくなる原因となっている。
脳を前日から非常事態に切り替えるのは、まったく得策ではない。
下見は1週間前に行けば、その時から脳はモードを切り替え、新たな環境だと認識して慣れさせる。
特に、夜寝ている間に脳が記憶の整理をして、しっかりと入試の環境に慣れさせてくれる。
1週間前なら、7回、眠れる。
だから当日に間に合う。