光文社新書「受験うつ」第5章より
・・・・勉強法については、塾の先生や教育の専門家など、さまざまな人がさまざまな方法を提案しています。
それぞれ良い点も多く、受験生の状況に合わせて、適宜、取り入れていけばいいでしょう。
ただし、従来の勉強法で決定的に欠落していたのは、メンタル面を扱う精神科学や心療内科学からのアプローチです。
仮に重い症状ではなくても、受験ストレスが高まるだけで、受験うつに準じた弊害が普段の勉強や試験の結果に噴出してきます。
こうした事態を避けるためにも、医学的に適切な勉強法が求められるのです。
もちろん、うつ病の症状が重い場合は休養が必要で、一定の期間、受験勉強も休むべきです。
一方、新型うつを中心に軽症のうつの場合は、それぞれのコンディションに合わせて勉強の中身を精査する必要はありますが、受験勉強は続けたほうが、うつの回復にも良い結果が得られています。
すべての勉強を中止し、丸一日、自らを完全に甘やかした状態にしてしまうのは、受験うつの症状のコントロールにも望ましくはありません。
ただし、そのためには勉強の仕方に脳機能に合致した工夫が必要です。
本章では、その具体的な方法を分りやすく説明していきましょう。
受験経験者はどなたでも、次のような悪循環に一度や二度は陥ったことがあるはずです。
① 思ったような結果が出ない
→②不満と不安が広がる
→③ヤル気が出なくなる
→④さらに結果が出なくなる
→⑤もっと不満と不安が広がる
→⑥もっとヤル気が出なくなる→
このような負のスパイラルがどんどん進行し、底なし沼に沈み込むように勉強ができなくなっていくというのが、受験うつの典型的な経過です。
心身ともに健康な状態を維持しながら受験勉強を効率よく前に進めていくためには、以上のような悪循環を断ち切って、以下のような好循環に切り替えていく必要があります。
① 思ったような結果が出る
→②自身が深まる
→③ヤル気が出る
→④さらに良い結果が出る
→⑤自信がもっと深くなる
→⑥もっとヤル気が出る→ → →
こうした好循環に切り替えるための画期的な方法が、スタンフォード大学のグループが行った研究によって導き出されました。
これは、子どもが学習していくプロセスなどを分析することで明らかになったものです。
私のクリニックでも、この方法を採用することで、合格率が飛躍的に向上しました。・・・・
光文社新書「受験うつ」第5章より
「受験うつ どう克服し、合格をつかむか」
光文社新書
吉田たかよし 待望の新刊本!
12月16日、発売決定!
<目次>
第1章 増える受験うつ
第2章「受験うつ」のメカニズム
第3章 受験うつは答案用紙に表れる
第4章 間違いだらけの治療法
第5章 親のひと言が子どもを受験うつにする
第6章 うつにならない勉強法
第7章 親のコーチングで結果は出せる
<内容紹介>
未成年のうつ病、しかも、ストレスが増える受験期に突然発症する人が急増している。
子どもと大人では症状が大きく異なるため、親も受験生本人も発症に気が付かない
ケースが多いのが実情である。
中学受験ではもちろんのこと、高校受験や大学受験で頻発しており、受験生専門外来の
私のクリニックにも、勉強が手につかなくなった多くの受験生が来院している。
受験期のうつで人生を狂わさないために、受験生本人が、家族ができることは何か?
また、脳機能から考えたストレス管理や効率の良い勉強法もまとめた、
うつ病の有無を問わず受験を控えたすべての方に必見の書。