お詫びと反省文(HPの修正)


 

TMS(磁気刺激治療)と認知機能との関係について、こちらのページの以下に記載したコロンビア大学などの研究論文を解説した私の文章には、誤解を招きかねない不適切な表記がありました。

 

 

下記の研究論文に関して、研究論文を解説した文章それ自体には医学的な間違いはないのですが、この論文が受験に役立つことを証明した実験であるかのような印象を与える紹介をしてしまっていました。

 

そもそも弊院では、受験うつに対する磁気刺激療法をすべて否定する立場ではありませんが、難治療性うつに対する効果でも30%から40%にすぎず、さらに受験うつの大半を占める神経症性のうつでは、治療効果はより低いパーセンテージとなっています。

 

18歳未満には論外ですが、18歳以上に対しても、最低3種類以上の検査を行い、高い効果が得られるごく一部の症例のみに磁気刺激療法をおすすめしています。

安易に磁気刺激療法を行うクリニックが多いことを問題視しておりましたが、このページの記載がそうした宣伝に流用されてしまったのはまったく不本意で、深く反省しています。

 

 

こちらのページは、私が東京理科大学で客員教授として論文を輪読する授業を担当したときに、大学院生の教育用に扱った研究論文を、軽い気持ちでクリニックのホームページにも掲載してしまっていたものです。

 

当クリニックのホームページは、無気力や不眠、スマホ依存など、受験生の様々なメンタルトラブルに対して解説記事をアップしており、ページ数は100ページを超えっています。

検索数が上位20のページについては、定期的にアップデートをしていますが、こちらのページは検索数が少なく、10年ほど放置したままで、ご指摘を受けるまではアップしたことも忘れてしまっていました。

 

 

このページの記事を改めて読み返すと、文章それ自体に誤りはなくても、確かに全体を通して読むと、読まれた方を誤認させる文脈になっているのは間違いありません。

 

この論文で扱われている実験で行われたTMS(磁気刺激療)は、うつ状態の治療に用いられえているTMS(磁気刺激療)とは磁気のパルスを脳に当てる条件がまったく異なります。

したがって、この実験の結果をもとに治療としての磁気刺激治療の効果を論評することは、まったく不適切です。

 

 

もちろん、掲載したときも、こうしたことは十分に理解しており、直接的にはそのような記述はしていません。

大学院生に解説した内容を、一般の方向けにわかりやすいように噛み砕いて作文したものです。

 

しかし、その後に、TMS(磁気刺激療)という同じ用語だというだけで、医学的な内容は全く異なる治療としての磁気刺激療法の紹介文を掲載してしまいました。

このため、普通に読むと、この実験が治療としての磁気刺激療法と関連があるかのようなミスリードを招く文章になってしまっていました。

 

 

 

深くお詫びし、訂正いたします。

 

 

受験生を最新の脳医学で合格させるという分野においては、第一人者を自認して診療活動をしてきました。

そんな心療内科医として、とても恥ずかしく、深く反省しております。

 

 

繰り返しになりますが、当院では18歳未満に対するTMSは行っていません。

さらに、私自身が受験生に対して安易にTMSを行うこと自体に否定的な立場をとっています。

実際、出演しているラジオ番組でも、特集コーナーの中で不必要なTMSを受験生に行っているクリニックがあることに対して警鐘を鳴らしております。

誤解がないよう、よろしくお願いします。

 

 


ホームページの表記の修正


以上を勘案し、不適切な表記があったこのページに関して、問題のあった文章を単に消去するのではなく、赤字を入れて修正し、さらに、注釈を加えることにしました。

修正前の文章のどこに問題があったのか、さらにTMS(磁気刺激治療)には、どこまでは効果が認められ、どこから先は未解明の領域なのかについても考慮し、注釈を付けることとしました。

 

 

今回、書き加えた修正や注釈はすべて赤字にしております。

なお、太字ブルーの文字は、もともとそうなっていた部分です。

 

以下、私がかなり以前に執筆してこのページに掲載していた「 磁気刺激が認知機能に及ぼす効果」のコラム記事です。

 

 


磁気刺激が認知機能に及ぼす効果!


脳機能が高まる驚きの研究とは?


◆脳機能が高まる驚きの研究とは?

脳に磁気刺激を行えば、ワーキングメモリと呼ばれる機能が高まることを実証した研究が

発表され、脳機能を扱う医師や研究者の間で注目を集めています。

 

発表したのは、 米国コロンビア大学ニューヨーク州精神医学研究所

脳科学の研究に取り組んでいるブルース・ルーバー博士らのグループです。

 

 

ワーキングメモリとは、「心の黒板」とも呼ばれ、頭のなかで情報を操作しながら

思考するときに中核をなす脳機能です。

実際、私たちの脳は、数式を解くときも、文章を読み取るときも、

あれこれと問題の解き方を考えるときも、ワーキングメモリの機能を使います。

 

 

 

 

だから、試験で良い点数をとるには、ワーキングメモリをアップさせることが

不可欠だといえます。

その機能が、脳に磁気刺激を与えることにより高まることが実験データとして得られたのです。

 

 

(注:この実験データが受験に有利になることを示すと誤認させる表記で、不適切です。お詫びして訂正します)

 

複数の実験が行なわれていますが、ここでは、そのうちの一つのデータをご紹介しましょう。

グラフを見ながら、以下の説明を読み進めてください。

◆ワーキングメモリテスト

磁気刺激は、脳に磁気のパルスを当てることで行われます。

高校で物理を習った人なら、

「ファラデーの電磁誘導」

を覚えているかもしれません。

磁場が変動すると、垂直方向に電場が生じるという現象です。

脳は神経細胞が電気的な刺激を伝え合うことで機能するものなので、これにより機能が活発になるわけです。

 

まず、左のグラフから説明しましょう。

 

グラフの下に、

1Hz、5Hz、20Hz

と書かれていますが、これは1秒間に磁気刺激を何度与えたかということを意味しています。

1秒間に1回なら1Hz、1秒間に5回なら5Hzということです。

 

グラフの左上に書かれている「Active」とは、実際に脳に磁気刺激をしことを意味します。

一方「Sham」とは「擬似の」という意味で、被験者に対して磁気刺激をしているふりをしており、実際には脳には磁気のパルスは当てられていません。

単なる気分の問題で脳機能が高まることも多いので、本当に磁気刺激の効果であることを証明するには、「Active」と「Sham」を比較する必要があるわけです。

 

被験者にはワーキングメモリを使うテストを受けていただき、どのくらいの時間でできるか、

速さを測定しました。

もちろん、速くできた場合はワーキングメモリの機能が高く、時間がかかった場合は、

ワーキングメモリの機能が低下しているということです。

 

グラフを見ると、1Hzと20Hzについては、「Active」と「Sham」は、ほとんど同水準です。

つまり、磁気刺激の効果は出なかったということです。

 

 

 

しかし、5Hzの場合は、「Active」が「Sham」より、かなり速くなっていることが

お分かりになると思います。

論文には正確な数値が明記されており、「Active」では平均491、「Sham」では平均542で、

大幅な格差が生じています。

つまり、脳への5Hzの磁気刺激によって劇的なワーキングメモリの機能のアップが

起きたということを示しているわけです。

 

以上がグラフの説明です。

一方、右のグラフは、同様の実験をテストの内容を変えて行った場合のデータです。

 

ワーキングメモリには、テストの内容量によって結果が変わるという

「Set Size Effect」という効果が見つかっています。

このため、異なる内容量でも同じ結果が出ないと、必ずしも磁気刺激によって

ワーキングメモリの機能がアップしたとはいえないのです。

 

右のグラフを見ると、やはり1Hzと20Hzについては、

「Active」と「Sham」がほとんど同水準で、

5Hzの場合のみ「Active」が「Sham」より、かなり速くなっています。

論文に掲載されている正確な数値をご紹介しておくと、「Active」では平均626、

「Sham」では平均702で、こちらも大幅な格差だといえます。

以上から、5Hzの磁気刺激が脳のワーキングメモリを向上させる効果は、

「Set Size Effect」にかかわらず幅広く起こる現象だといえるわけです。


以上、ホームページを修正させていただきました。

今回のことをしっかりと反省し、適切な表現でお伝えするよう精進いたします。

 

医学博士・心療内科医師

吉田たかよし


 【2018年】 本郷赤門前クリニックの実績  🌸東京大学、理科Ⅰ類(2人)、理科Ⅱ類、文科Ⅰ類、文科Ⅲ類、合格!!🌸京都大学、理学部、工学部、合格!🌸🌸🌸 🌸早稲田大学、基幹理工学部、商学部、合格!🌸🌸🌸 🌸慶応大学、理工学部、総合政策学部、合格!🌸🌸🌸 🌸医学部、東京都内、近畿地方など多数、合格!🌸🌸🌸 その他、歯学部、薬学部、マーチ、日東駒専、短大に多数、合格!

当院では18歳未満に対するTMSは行っていません。