親の焦りが子どもにうつる!

受験パニックを生み出す情動感染


 

子どもの受験パニックの原因は親だった!

 

入学試験とは実にシビアなものです。

普段は成績優秀なのに、試験の最中で頭が真っ白になって不合格になる気の毒な受験生たちが、毎年、後を絶ちません。

この現象、メンタル医学では「受験パニック(Exam Panic Attacks)」と呼ばれています。

 

意外に感じる方が多いと思いますが、受験を専門に診療している心療内科で検査を行うと、実は、子どもが受験パニックを起こす根本的な原因が、親にある場合が少なくないのです。

中学受験だけでなく、高校受験や大学受験でも、この現象は、最近、特に増加傾向にあります。

 

具体的には、子どもの受験に対して、まず先に、親が焦りを感じる・・・。

次に、そのネガティブな感情が、親から子へとうつっていく・・・。

その結果、過剰な緊張によって、子どもが肝心の入試の真っ最中に「受験パニック」を起こす・・・。

もちろん、ほとんどのケースでは、子どもは入試に落ちてしまいます。

 

このような現象を、メンタル医学では「情動感染(emotional contagion)」といいます。

 

 

 

「情動感染(emotional contagion)」不安が周囲の人に感染する?

 

試験を受けているときに頭が真っ白になる「受験パニック」や、入試の直前期に勉強のやる気が消滅してしまう「受験無気力症候群」を予防するうえで、「情動感染」という用語は、とても大事なキーワードです。

簡単に説明しておきましょう。

 

人間の脳は、単独で働いているのではなく、周囲の人の脳と連動しあって情報処理を行っています。

よく脳をスーパーコンピューターに例える人が多いですが、私のような心療内科医からみれば、むしろ多くの端末が情報を交換しながら機能しているスマホに近いといえます。

 

感情はどのようなものでも、周囲の人に伝わる性質があるのですが、とりわけ焦りや不安といった原始的な感情、つまりネガティブな情動は、特に優先的に周囲の人々へと伝播してしまうのです。

これは、たとえば新型コロナウイルスのような感染症が人々に伝わるのに似ている現象なので、メンタル医学では「情動感染」という専門用語で呼ぶようになったのです。

 

我々ヒトは身体的には他の生物と比べて弱い存在です。

そこで、仲間と感情を共有をして協調行動をとることにより、生存競争を勝ち抜いてきました。

そのために「情動感染」は過酷な大自然の環境下で生き残るために、不可欠だったわけです。

 

 

 

親子の情動感染は別格の強さ!

 

この情動感染は、一般的には周囲にいさえすれば、どんな人にも起こるものです。

ただし、特に親と子ども間で強く生じやすいことがわかっています。

 

子どもは、まだ未熟なために、身に迫る危険を察知する能力は高くはありません。

そこで、親子が危険な状況に追い込まれたときに、親の不安な感情を子どもに伝搬させる必要があったのです。

親の不安感がが子どもに自動的に受け継がれる・・・。

こうした情動感染があったからこそ、人類は命を絶滅を回避することができたのです。

 

 

だから、①親子、②不安感という二つの条件を満たすと、情動感染はとても強く作動するように、人間の脳は進化してきました。

これは子どもの命を救うために、本来、とても良い働きをしてくれていた脳の仕組みだといえるのですが、原始時代とは大きく環境が変わった現代社会では、これが逆効果になることがあるのです。

それが、入試における受験パニックや、入試の直前期に不安に押しつぶされて勉強意欲が枯渇する「受験無気力症候群」なのです。

 

 

 

 

受験パニック防止策!親の役割とは?

 

これまでの話から、親自身が受験のプレッシャーに対処する方法を見つけることが、子どもの受験パニックを防ぐ重要なステップであることがおわかりいただけたと思います。

 

入試の直前期になると、多くの親御様が、子どもが焦りや不安を感じないように、どのような言葉をかけてあげればいいのか苦慮します。

しかし、それより前に親がやるべきことは、親自身が焦りや不安を抱えないようにすること。

つまり、自分自身のメンタルヘルスを維持することが重要なのです。

 

これがきちんとできていれば、不安感や焦りの情動感染を防げるほか、健全なチャレンジ精神や粘り強い精神力を生み出すポジティブな情動感染を子どもに届けることができます。

子どもが自身の能力を最大限に発揮する大事なカギを握っているのが親自身なのです。

 

 

 

受動感染のため、親が今すぐやるべきこととは?

 

 

では、子どもにネガティブな情動感染を与えない、あるいはポジティブな情動感染を授けるには、親自身は、具体的には何をすべきなのか?

それは、受験生がやるべき対策を、まず、親自身がやってみるということです。

 

 

受験パニックを抑えるには、以下の三つの方法が効果的です。

 

①呼吸法

②カウント法

③意識をお気に入りの文房具に振り向ける

 

この3つの対策については、「受験パニック対策ガイド(Exam Panic Attacks)脳を最適化して合格への道を切り拓く」というページで詳しく解説しています。

ぜひ、こちらもご一読ください。

 

 

 

 

 

 

また、受験無気力症候群を予防するには、以下の4つの方法が効果的です。

 

①5分間集中法

②スタンディング法

③相撲スクワット法

④服装法

 

この4つの対策については、「受験無気力症候群(Exam Apathy Syndrome)気力がよみがえり、合格できる秘策とは?」というページで詳しく解説しています。

こちらもご一読いただければと思います。

 

  

 

症状が重い場合は、親子で専門の治療を受けましょう!

 

ご紹介している方法を、まず、親御様に実践していただき、さらに親御様の実体験をもとにお子さんにこれらの方法を伝授していただいたら、受験パニックも受験無気力症候群も、抑えるための一定の効果が出ることが多いです。

 

ただし、すでに強い症状が出ている場合は、専門の脳医学に基づく治療を行うことが、合格への近道です。

私のクリニックでは、「磁気刺激治療(受験うつ)早期合格コース」という診療プログラムを設け、高い合格実績を出しています。

また、情動感染の効果も考慮し、親御様にメンタル面の不調が出ている場合は、親子一緒にこのコースを受けていただくこともおすすめしています。

 

ぜひ、ご検討いただければと思います。

 

 

 


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